和田竜の最新作と『のぼうの城』!12年ぶり長編小説への系譜を徹底追跡
『村上海賊の娘』の熱狂から12年の歳月を経て刊行された『最後の一色』。なぜ著者はこれほど長い執筆期間を要し、なぜ一色藤長(いっしき ふじなが)という知られざる戦国武将に焦点を当てたのでしょうか。
一色藤長は、室町幕府の第13代将軍・足利義輝、そして第15代将軍・足利義昭に仕えた幕臣です。歴史の教科書では大きく取り上げられることの少ない人物ですが、古記録を紐解くと「織田信長ですら畏怖した」とされる規格外の武勇と政治的暗闘の持ち主でした。没落していく幕府の権威を守るため、時代の奔流と正面から衝突した男の生き様は、まさに和田文学の根底にある「巨大な理不尽に抗う孤高の魂」と直結しています。
文藝春秋や好書好日のインタビューで語られたところによれば、和田氏は数年がかりで全国の古文書や現地資料を徹底精査し、藤長に関する断片的な記述をパズルのように組み立てていったといいます。単なる善悪二元論に落とし込まず、豪胆でありながら極めて繊細、時に冷徹で狂気すら孕んだ武将の心理描写は、12年の歳月を費やしたからこそ到達できた円熟の境地です。
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の ぼう の 城